シリコンバレーに拠点を移しました

最近になってアメリカを拠点とし、日本とアメリカを行き来する、これまでとは逆の生活に切り替えました。
近澤 良 2025.08.19
誰でも

今回は個人的なご報告です。

2016年にAutifyの前身となるLocki, Incを創業してから、まもなく9年が経ちます。これまで日本をベースに、アメリカと日本を行き来する生活を送っていましたが、少し前からアメリカをベースに、日本とアメリカを行き来する、これまでと逆の生活に変えました。

Autifyは創業から一貫して世界市場を目指してきましたが、日本のお客様が多くを占めており、従業員も国籍は様々ですが日本の居住者が多くいます。個人的には、拠点をアメリカにしたいと創業時点から強く思っていたものの、そういった状況のため、なかなか日本を離れることができずにいました。

ありがたいことに、最近では私が深く介入せずとも、日本の事業が安定して成長するようになってきたため、満を持してアメリカへ拠点を移す決断をしました。現在はカリフォルニア州マウンテンビュー、いわゆるシリコンバレーの一角に住んでいます。Google本社のすぐ近くです。

ではなぜ今シリコンバレーに拠点を移すのか、理由は大きく二つあります。

北米市場へフルコミット

理由の一つは、北米を中心とした英語圏および準英語圏の市場にフルコミットし、国外売上を大きく伸ばすことです。日本市場も決して小さくはありませんが、桁違いの規模で勝負するためには国外市場への挑戦が不可欠であり、創業当初から注力してきました。ある程度の顧客獲得には成功しましたが、まだ本格的にスケールしているとは言えない状況です。

日本にいた頃は、アメリカとの業務のために毎朝3:30に起き、4:00からミーティングを行う生活をしていました。しかしアメリカ東海岸では既に午後3時。このような朝型生活にも限界があり、北米市場にフルコミットしきれないジレンマを抱えていました。

北米市場は日本の10倍以上の競合が存在し、明確なポジショニングや、日本とはまったく異なるGTM戦略が求められます。ソフトウェア開発のように一見グローバル共通に見える領域であっても、北米市場は全くの別物で、日本の延長線上にはありません。片手間では到底太刀打ちできない市場です。だからこそ、このタイミングで創業者である私自身がフルコミットし、次の成長の柱を築くために移住すべきと判断しました。

現在は西海岸に拠点を移し、日本・韓国以外の顧客に対しては私自身が再びセールスに戻り、商談、製品トライアルの管理、ネゴシエーションからクロージングまで、すべて自ら行っています。まさにファウンダーモードでのフルコミットです。ちなみに、西海岸の深夜1時は日本の夕方5時。夜まで働けば、日本とのやり取りも通常通り可能です。

そして、何より大きな利点は、現地のコミュニティに直接アクセスできることです。先日も、大手B2B SaaSのCROや成長中のスタートアップファウンダーが集まるクローズドなディナーに招待いただきました。こういった機会は、出張ベースでは得られません。同じ領域のファウンダーと気軽にコーヒーを飲んだり、顧客に直接会いに行けるのは、当たり前のようでいて、想像以上に大きなメリットです。

また、シリコンバレー周辺では数多くのテック系イベントが開催されており、それらに気軽に参加できるのも大きな魅力です。先日参加した「AI Engineer World Fair」は、AIの最前線を行くエンジニアたちが集まるカンファレンスで、非常にレベルが高く密度の濃い内容でした。

次の柱となる製品を作り続ける

アメリカの顧客や、先端を走るファンダー達と会話をしていくことで、次の柱となる製品を作り続けることも大きな目的のひとつです。

AIの進化によって市場の変化は凄まじく、そうした変化に敏感な人々と議論を重ねる中で、多くの新しいアイデアが生まれています。先日発表した「Autify Genesis 2.0」も、まさにこのような流れから生まれた製品です。さらに近々、もう一つ新たな製品をローンチする予定です。

ファウンダーモード

以前、Paul Grahamが「Founder Mode」という記事を出して話題になりました。スタートアップのファウンダーは、会社が成長してもマネジメントに徹するのではなく、自ら手を動かし続けるべきだという内容で、多くの共感を呼びました。

私も、ファウンダーの役割は「0→1」を生み出し続けることだと考えています。正直に言えば、「10→100」はあまり得意ではありません。KPIを細かく見ながら管理していくようなマネジメントは私の強みではありません。しかし、それを得意とする優れた方々がいて、組織をスケールさせる役割はそうした方に任せるべきだと思っています。

一方で、この会社の「0→1」を創れるのは、自分しかいません。常にバーニングニーズを探し続け、連続的にPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を実現していく。それこそが、ファウンダーとしての価値であり、自分の使命だと感じています。

世界で爆発するAutifyの新しい姿をお見せ出来るよう、頑張ってまいります。

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