Alchemist Acceleratorでの経験
こんにちは、バーニング近澤です。先日、アメリカのトップアクセラレーターの一つであり、僕らが日本人として初めて卒業したアクセラレーターでもある、Alchemist AcceleratorのJapan programのローンチが発表されました。これに伴いローンチイベントにて登壇する機会を頂きました。
そこで今回は、僕がバーニングニーズを解決する基礎を教えてもらい、今の事業の原型を作ることが出来た、このAlchemist Acceleratorでの経験やアクセラレーターに入るメリットについて書いていき、Alchemist Accelerator Japanプログラムに対してより多くの方に興味を持ってもらいたいと思っています。
ちなみに、ここに書かれているものは僕の2018年8月から2019年2月の経験に基づくものなので、現時点でのプログラムの内容とは異なる点もあることをご了承ください。
スタートアップアクセラレーターとは
まずそもそもスタートアップアクセラレーターとは何か、という前提からご説明します。
スタートアップアクセラレーターとは、創業間もない将来有望なスタートアップに少額の投資を行い、成功のノウハウを教え込んで成長を加速させる、教育プログラムのようなものです。
3 - 6ヶ月くらいのプログラムが年に数回、バッチという単位で実施されており、一度のバッチに受け入れ可能な社数が決まってます。大抵はオンラインの応募フォームがあり、そこから書類選考を経て面接を行い、プログラムで受け入れるスタートアップが決まります。
プログラムの最後にはデモデイという投資家を招いた成果発表会を行い、参加企業はプログラムで成し遂げたことを投資家に対してプレゼンテーションを行い、資金調達に繋げます。
Autifyの2019年1月におけるDemo dayの様子
Alchemist Acceleratorとは
アメリカには実に750ものプログラムがあると言われてますが、Alchemist Acceleratorはその中でも上位に入る名門です。拠点はサンフランシスコを拠点で、BtoBのスタートアップのみを対象としているところが特徴です。
この、BtoBのみを対象にしているというところが重要だと僕は考えています。基本的にスタートアップは、1) 一般消費者にサービスを提供するBtoCか、2) 他の企業などにサービスを提供するBtoBかに分かれますが、BtoCかBtoBかによってスタートアップの方法論が大きく異なってきます。
Alchemistでは特に大企業向けのソリューション提供を行っているスタートアップの支援を得意としています。そのため、大企業などへのセールス支援や、セールスのコーチングなど、BtoBに特化した支援プログラムが充実していることが大きな魅力です。
BtoBのスタートアップの方法論はある程度定式化しやすいと考えます。実際Alchemist内部にはHandbookと呼ばれる秘伝の書が存在し、BtoBスタートアップ立ち上げにまつわる様々なノウハウが蓄積されています。
プログラムの内容
Alchemistのプログラムは全体で6ヶ月となっており、他のアクセラレーターと比べて長いです。3ヶ月ごとにプログラムが開始され、一回の開催期間(バッチ)ごとにおそよ20社が採択されます。ですので、入った時には1つ前のバッチの先輩がおり、 3ヶ月目に彼らの成果発表をデモデイにて実際に見ることが出来るため、成長のイメージがしやすいように出来ています。
僕らはClass XXというBatchでしたが、半分以上がアメリカ国外から参加しており、インターナショナル感が強かったです。エストニア、ノルウェー、カナダ、インド、シンガポール、中国、そして僕らの日本など、様々な国からの参加がありました。開始の二日目に同期全員が山の中に集まってロープに登るユニークなアクティビティがありました。お互いの名前を呼び合うようなゲームも交え、距離が近くなり仲良くなりました。
Alchemist class XXのメンバーとメンターや卒業生など
毎週3 ~ 4時間のレクチャーがあり、Sales, Marketing, Fundraisingが主な内容で、その中でも特にSalesの比重が高めでした。レクチャーは、大企業のDirecotrレベルの人や、BtoBの領域で成功した起業家などが来て、実務と経験に基づいた具体的な話をしてくれました。どのようにcold callをするのか、どんなEmailを送るのかというレベルの実務から具体的に教えてくれました。
レクチャーはこのような形でAlchemistを支援する企業の会議室などを使って行われました。
その他に期間中、顧客となりうる大企業の担当者からフィードバックをもらうようなセッションや、投資家からフィードバックをもらうセッションも実施されました。また定期的に同級生、卒業生、メンター陣が交流する場もありました。
ネットワークとメンタリング
Alchemistの魅力は何と言ってもそのネットワークにあります。初日に現れたメンター陣の経歴を聞いて驚きました。複数回のExitを経験してる人や、大企業のVPやC-Levelの人たちばかりでした。ホームページに一部が掲載されていますので是非ご確認ください。
Alchemistはフルタイムで運営にあたっているのは少人数で、その他は16,000人以上のメンター、投資家、大企業の重役から成り立っています。彼らとコミュニケーションを取るための内部のソーシャルサイトがあり、アドバイスを受けたい人にミーティングリクエストを送ることが出来ます。
デモデイ
プログラムの最後は、デモデイです。デモデイとは、投資家に向けて事業のプレゼンテーションを行い、資金調達へと繋げる発表会のようなものです。僕らのBatchでは、シリコンバレーにあるJuniper NetworkのAspiration Domeというかなり大きなステージで開催され、現地300人、ライブストリーミングで4,000人の参加者がいました。こちらが当時のピッチ動画です。
デモデイの参加投資家には、登壇企業のリストが掲載されたウェブサイトが事前に共有されており、そこから投資家が繋がりたいリクエストを送ることが出来ます。リクエストを送ると、自動的にスタートアップにメールが送られる仕組みとなっており、そこからアポイントを設定します。
Alchemist Acceleratorで得られたこと
もし我々がAlchemistに入れなかったら、今のAuitfyは存在しませんでした。そのくらい我々にとっては必要不可欠なプログラムでした。Alchemistで得られたものを端的に説明すると、1)ナレッジ と 2)ネットワークの2点に集約されると考えます。
ナレッジ
前述の通り、Alchemist内部にさまざまなナレッジが集約されたHandbookがあるのもそうですし、何よりも、こうするべきという一定のセオリーを持っていることが心強いです。スタートアップにおいては、さまざまな正解がある世界ですが、失敗はある程度パターン化できます。Alchemistのセオリーはその失敗を回避するための知見と言えます。
ではどのような学びがあったのか、もちろん言わずもがな、Burning needsをどのように見つけるかを教えてくれたのはAlchemistでした。どのように顧客と話していくのかと言ったことも含め、かなり具体的なアドバイスを沢山もらいました。これにより我々もBurning needsを見つけることができたのは、皆さんもご存知の通りです。
また、こちらの記事にも書きましたが、Alchemistに入ってまず最初に、「Founderが売れないものは売れない。君たちが自分で売ってくるんだ。」と言われたのは大きな衝撃でした。自分はエンジニアで営業が得意ではないから、いい製品が出来たら誰かに売ってもらうものだと思っていましたが、この言葉を聞いて「よし明日からセールスマンになろう」と覚悟を決めました。この瞬間にエンジニアから営業に転身できたのが大きかったです。
まだまだここには書ききれないくらい沢山あります。これまでニュースレターで書いたものもありますし、まだ書けてないものもありますので、今後も書いていこうと思います。
ネットワーク
前述の通り、素晴らしいメンターと投資家のネットワークがあります。プログラム中にも素晴らしいメンターの方々にサポート頂いたのも去ることながら、デモデイの直後にこの力強さを大きく感じました。
デモデイでの発表直後から、Top tier VCを含めた多くの投資家の方からご連絡を頂きました。また、TechCrunchにも取り上げられ、そこから今に至るまで絶え間なく海外投資家からの連絡が来ています。Alchemistを卒業することで、グローバルスタートアップとして認知されたと言えるのではないでしょうか。
Startup Acceleratorに入るべきか
アクセラレータに入る価値があるか、とよく聞かれます。もしアメリカで事業を大きくしてグローバル市場を取りたいが、それを進めるためのコネクションが全くない場合、アメリカのStartup Acceleratorに入ることを強くお勧めします。僕はアメリカ市場に切り込むため、ずっとトップアクセラレーターに何度も何度も繰り返し応募し続けてました。シリコンバレーのスタートアップ業界も驚くほど村社会であり、シリコンバレーのインサイダーであるかというのはかなり重要です。
Alchemist AcceleratorのJapanプログラムには僕も大きな期待を寄せていますので、是非多くの方に応募して頂きたいと思います。ただ、もちろん誰しもにとって正しい選択肢ではないでしょうし、ここに書いてあることと現在での状況は色々な違いもあるとは思いますので、ご自身の状況に合致しているかよく考えてください。
ご興味持った方は是非こちらから!
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